| 17.院内感染防止 |
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| ● 目的 | ||
| 医院や病院などの医感施設で治療を受けている患者が、原疾患とは別に院内で新たに感染を受けて発病することを「院内感染」と呼んでいます。病気を治療するために医療施設にかかっているにもかかわらず、新たに院内感染に罹患した場合、患者の苦しみを増すだけでなく、患者とその家族の精神的・経済的負担も増大することになります。院内感染の特殊性を十分に解析して院内感染防止指針を確立することは急務です。 | ||
| ● 特殊性 | ||
| (a)医療施設には他の集団や施設よりも感染症が多発する避けがたい要因が山積 | ||
| 患者は健康者よりも感染に対してはるかに抵抗力の弱い感受性体ですが、はるかに濃厚な感染源となる症例が多いです。このような濃厚な感染源と感染に対する抵抗性が低下した感受性体が密に混在している医療施設内では、感染経路が複雑多岐となり、一般社会では起こりにくい平素無害菌による日和見感染症(opportunistic infection)も多発することになります。 | ||
| (b)院内感染防止対策の重点は感染経路の遮断 | ||
| 伝染病の伝播を防ぐために伝染病予防法(法律)では、伝染源である病原体保菌者の隔離を重要視しています。院内感染といえども感染症であるから、感染症成立の三大要因である感染源→感染経路→感受性体の条件が満たさなければ院内感染は起こりませんが、院内感染の感染源は極めて多様であり、我が国の医療現状から見て全ての感染源を完全に隔離することは不可能であり、感染症の種類によっては感染源の隔離を必要としないものも決して少なくありません。 新生児室や小児病棟でしばし見られるブドウ球菌感染症の感染源は、ほとんどの事例において医師・看護師などの医療担当者の鼻腔内保菌者です。感染源が看護師である場合、職場の配置転換が話題に上るが、例え非保菌者を配置換えしても、医療担当者は、遅かれ早かれブドウ球菌保菌者になるべき宿命に置かれているため、本質的な問題解決にはなりません。本人が保菌者であることを自覚し、病棟環境を汚染しないように、患者と接するときは常に清潔なマスクをしたり、鼻汁処理を厳重に行って、感染経路を完全に遮断するように心がける以外に防止する方法はありません。 近年、ウイルス性B型及びC型肝炎の院内感染が、問題になっています。患者血液との接触機会の多い人工透析クリニックや、外科領域の医療従事者の間にB型及び、C型肝炎ウイルスの保菌者が増加していますが、これらの医療従事者をHBs・HCs保有者だからといって職場転換は容易ではありません。また、院内感染としての日和見感染症原因菌の花形として騒がれているPseudomonas, Klebsiella, Proteus, Serratia などoppotunistic pathogen の感染源・汚染源をたどると、入院患者の屎尿に由来している事例が多いです。これらの事柄を考えただけでも、院内感染防止対策は感染経路の遮断に重点を置くべきです。 感染経路を遮断するためには、病院内に発生しうる各種感染症に特有なそれぞれの感染経路を十分に把握し、それに適合した滅菌・消毒の完全実施が必要です。病院などの医療施設では、そのものの性格上、たえず感染源侵入の危険性にさらされており、院内における感染症患者・病原菌保菌者の情報については細大もらさず、管理者=院内感染防止対策委員会が把握していない限り、滅菌・消毒法の完全実施は不可能であり、適切な防止対策を立てることができません。 感染症患者・保菌者といえば直ぐに患者の身を対象として考えがちですが、医療従事者についても平素から健康管理に十分、留意する必要があります。 |
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| (c)院内感染と医療訴訟 | ||
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院内感染は患者の苦しみを増すだけでなく、患者とその家族の精神的・経済的負担も増大するため、医療紛争や医事訴訟に発展する事例が多いです。悪性腫瘍の末期感染など、現在の学問レベル・医療レベルでは事前に防止できない不可抗力な感染症例の場合には、あまり問題になりませんが、医療者側の不注意や無知によって院内感染が発生したときには、今までの経験から見て医療者側はほとんど敗訴に終わります。例え、医事紛争や訴訟を考えなくても、患者の負担を増大させる院内感染の発生を防止するために、医療従事者は細心の注意を払うべきです。
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| (d)院内感染発生時の責任 | ||
| 院内感染が発生した場合、しばしばその責任は主治医に問われますが、それだけでは問題の解決にはなりません。病院は「病院では常に院内感染が発生すべき多くの要因があることを熟知して、それなりの対策を出したかどうか」、医療担当者は「専門知識集団として、あらかじめその発生防止に具体的な対策活動をしたか」について責任を追求されることになります。往々にして、見かけ上の直接責任者である主治医が「技術上のミスがあった」として攻められ、また社会通念により管理者のみに、管理上の不行き届きの責任があるものとして非難されがちです。院内感染の発生はあくまでも病院全体の責任としてとらえ、医療従事者一人一人が、院内感染防止の重要性を認識し、その対策を実施してこそ防止できるのです。 |
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